愚劣手 愚花 
設定
名前：愚劣手 愚花(ぐれつで おろか)
年齢：17歳
性別：女
職業：女子高生、Evilでアルバイト中
身長：154cm(挧蟐彁之四肢込)
体重：46kg
誕生日：4月4日
好きなもの：挧蟐彁(まりちゃん)、孤児院の人達、ボーリング
嫌いなもの：命を粗末にする人
一人称：わたし
二人称：あなた
三人称：あの人
年齢：17歳
性別：女
職業：女子高生、Evilでアルバイト中
身長：154cm(挧蟐彁之四肢込)
体重：46kg
誕生日：4月4日
好きなもの：挧蟐彁(まりちゃん)、孤児院の人達、ボーリング
嫌いなもの：命を粗末にする人
一人称：わたし
二人称：あなた
三人称：あの人
人物
朗らかな性格をした下町高校に通う女子高生。
人が良く、頼まれたら断れないタイプ。
過去の出来事から多少世間知らずなところがあり、周りと感性がズレている部分があったりする。
幼少期、父親とピクニックに向かっていた際に那須の山奥に存在する限界集落、臣豆頁村に立ち寄ってしまい、
久遠の邪気に晒されて狂信者と化している村民及び自らの父親に捕らえられ、約10年間の間、監禁、拷問(四肢切断等)、強姦の限りを尽くされた過去を持つ。
臣豆頁村での監禁生活で唯一自分の味方であり心の拠り所となっていた水子(この世に生を受ける前に亡くなった者の事)の霊、挧蟐彁(まりちゃん/名前は愚花がつけた)と辛苦を共にし、自分達の「生きたい」という想いを踏みにじろうとする人間に対しての恨み辛みや復讐心を募らせ、それを糧に彼女と一つになる事で村から脱出する。
脱出時、挧蟐彁と同じく力を取り戻していた手負いの久遠と対峙し、これを撃退。
そのまま意識を失うが、臣豆頁村消失事件で現場調査に訪れていた化弥魔 利奈、化弥魔 潤によって救出され、今は彼らの居る孤児院で挧蟐彁と共に暖かい人達に囲まれながら、楽しく生活を謳歌している。
救出後直ぐは車椅子生活を余儀なくされていたが挧蟐彁の力が回復してきたことで現在の愚花の手足は彼女の力によって補われている。
挧蟐彁とは姉妹のような関係を築いており、挧蟐彁のことを「お姉ちゃん」と呼ぶこともある。
学校やアルバイトの時間以外は挧蟐彁と楽しく過ごしている。
車椅子生活をしていた際にお世話になった藤波 帖の事を信頼しており、お世話になったお返しにお仕事の手伝いがしたいと、彼の経営する「よろず屋 Evil」にアルバイトとして通っている。
帖が実は自分と同じく世間知らずな部分がある事に親近感を感じ、お互いの知っている娯楽を共有する事を楽しく思っている。
孤児院の化弥魔利奈、潤、行く先でよく出会うゼロやアルバート達のことを尊敬しており、特異な容姿の自分にも分け隔てなく接してくれる事に感謝している。
人が良く、頼まれたら断れないタイプ。
過去の出来事から多少世間知らずなところがあり、周りと感性がズレている部分があったりする。
幼少期、父親とピクニックに向かっていた際に那須の山奥に存在する限界集落、臣豆頁村に立ち寄ってしまい、
久遠の邪気に晒されて狂信者と化している村民及び自らの父親に捕らえられ、約10年間の間、監禁、拷問(四肢切断等)、強姦の限りを尽くされた過去を持つ。
臣豆頁村での監禁生活で唯一自分の味方であり心の拠り所となっていた水子(この世に生を受ける前に亡くなった者の事)の霊、挧蟐彁(まりちゃん/名前は愚花がつけた)と辛苦を共にし、自分達の「生きたい」という想いを踏みにじろうとする人間に対しての恨み辛みや復讐心を募らせ、それを糧に彼女と一つになる事で村から脱出する。
脱出時、挧蟐彁と同じく力を取り戻していた手負いの久遠と対峙し、これを撃退。
そのまま意識を失うが、臣豆頁村消失事件で現場調査に訪れていた化弥魔 利奈、化弥魔 潤によって救出され、今は彼らの居る孤児院で挧蟐彁と共に暖かい人達に囲まれながら、楽しく生活を謳歌している。
救出後直ぐは車椅子生活を余儀なくされていたが挧蟐彁の力が回復してきたことで現在の愚花の手足は彼女の力によって補われている。
挧蟐彁とは姉妹のような関係を築いており、挧蟐彁のことを「お姉ちゃん」と呼ぶこともある。
学校やアルバイトの時間以外は挧蟐彁と楽しく過ごしている。
車椅子生活をしていた際にお世話になった藤波 帖の事を信頼しており、お世話になったお返しにお仕事の手伝いがしたいと、彼の経営する「よろず屋 Evil」にアルバイトとして通っている。
帖が実は自分と同じく世間知らずな部分がある事に親近感を感じ、お互いの知っている娯楽を共有する事を楽しく思っている。
孤児院の化弥魔利奈、潤、行く先でよく出会うゼロやアルバート達のことを尊敬しており、特異な容姿の自分にも分け隔てなく接してくれる事に感謝している。
外見
技・特殊能力
武器など
略歴
みずご
人数：一人
推奨：目星、図書館等、SAN値
時間：ボイセで1〜3時間程
傾向：R-18G、拷問クローズド
HO：貴方は後天的に四肢を切断された。貴方は生まれた事に恨み・後悔がある。貴方は女性だ。
↓
商店街の福引で豪華客船の搭乗券に当選。
当時は車椅子生活だった為ヘルパーさんと乗る予定だったが、手違いでヘルパーさんが乗船出来なくなってしまい、その場にいたよろず屋の藤波 帖に移動のお世話を頼む事に。その後事故に巻き込まれ危険な目に遭うが、周囲の助けもあり無事生還。
以来、帖や、船上で出会ったゼロとは縁あってか頻繁に行動を共にしている。
↓
月日が経ち挧蟐彁の力が徐々に回復。
挧蟐彁に四肢を補ってもらい、2人で仲良く手を繋いで外出するようになる。
↓
見知らぬ部屋でお菓子作りをお願いされる。
経験もなかったので緊張気味だったけど、みんなで試行錯誤しながらお菓子を作るのは楽しかった。
たくさん練習して上手になったら孤児院のみんなに振る舞いたい。
↓
人数：一人
推奨：目星、図書館等、SAN値
時間：ボイセで1〜3時間程
傾向：R-18G、拷問クローズド
HO：貴方は後天的に四肢を切断された。貴方は生まれた事に恨み・後悔がある。貴方は女性だ。
あらすじ
四肢の無い愚花は自身に振り落ちる得物をぼんやりと眺めていた。
ああ、酷い人生だったなあ。つらかったなぁ、苦しかったなぁ。
……どうしてこんな事になったんだっけ？
愚花は死を覚悟して目を閉じる。その瞼の裏には、過去の情景が走馬燈の如くリフレインしていた…。
背景
那須の山奥に存在する限界集落、臣豆頁村。
外部との接触を極端に断つこの村は、水子供養の村として古くから村民がひっそりと暮らしていた。
しかし、神職のバカ息子が近隣の地域から殺生石を持ち込んでしまい、平穏は打ち砕かれる。
この殺生石こそ邪悪な大妖怪「久遠」が封じられた邪気を放つ岩だったのだ。
岩から漏れ出る邪気に当てられ、臣豆頁村の住人はどんどん久遠の狂信者となっていき、遂にはほぼ全ての村人が狂信者となってしまった。
岩から漏れ出る「身体が欲しい」という欲望を曲解し、村人は外部の人間を拉致監禁して二年に一度四肢を切り落として岩へ捧げる。
そんな村へ偶然やってきてしまった愚花を待ち受ける運命は、残酷なものだった。
一方で、元々祀られていた水子の魂達も、殺生石の影響を受けてしまった。
邪気という強い意志に晒され、魂の集合体が自我を獲得してしまったのだ。
自分がこの世に生を受ける事が出来なかった事について、人に対する怨みや辛みが溜まってゆく。そして、久遠の狂信者だらけになってしまった村では水子供養も神社への信仰も行われない。
淀みは濾過される事なく、次第に黒くなっていった。
憎い、人が憎い。
気付けば御霊の集まりだったそれは、祟神へと変貌していた。
漏れ出た障りは人々の身体や精神を更に蝕んでいった。
そんな矢先、村へと一人の少女がやってくる。
始めは好奇心や、精神の近い子供という事で近付いたものの、陰惨な村人の仕打ちを間近で見ている内に、少女の感情に同調、次第に少女の支えになろうと気持ちが動いていく。
最後は少女と1つになって強敵に立ち向かい、とても身近な仲になるのだった。
登場人物
愚劣手 愚花
山に遊びに行こうとして臣豆頁村にたどり着いてしまう。
村に捕らえられ、監禁、拷問、強姦の限りを尽くされる。
そりゃ人を怨みたくなったり、自分が生まれてきた意味も考えてしまうよね。
愚花の父親
家族サービスで愚花を山へ連れてきたが、臣豆頁村の殺生石の邪気に晒されて教信者化。
娘を差し出して凄惨な目に合わせてしまう。
その後、気が完全に狂ってしまい、細切れにされて山犬の餌にされた。
安倍獄耀
臣豆頁村の神社の住職。
最初期に殺生石の邪気に当てられた人物。
こいつのせいで凄惨な目にあった人が多くいる。
最終的には久遠復活の際に死に絶える。
執行人の男
愚花を清めと称して犯し、四肢をもぎ取る異常人物。
極度の加虐嗜好持ち。最終的には愚花に殺される。
当然の結末。
久遠
殺生石の中にいる大妖怪。その本性は九尾の狐。
最後に出てくるが、別のセッションでボスとして倒された後なのでステータスが大分下がっている。とはいえ強力。
挧蟐彁
名前は無い。愚花が名付け親になる。（使用している文字はすべて幽霊文字）
元々は水子の霊の集合体であり、プレイヤーがキャラクター作成時にダイスを振り直す度に消されていく未熟な魂達。
愚花と仲良くしたいが為に、会う度に姿を成長させている。
様々な姿になる可能性があった為、どんな姿にでもなれる。
幽霊な為、ポルターガイスト以上の力は中々出せない。
定形の姿を取るのは意外と力を使うため、淀みの深化が進んだ最後の方は、化け物の様な姿になってしまった。
最終的に邪気を全て久遠に吸い取られ、かつ神社が消失した為、自由に現世を動けるようになった。
導入
どろり。
下腹部から何かが垂れ出る感覚で目が覚める。
枯れた喉からは声さえ出ず、ヒューヒューと虚しい呼吸音だけが響いた。
目の前にはロクに照明も無い薄暗い部屋の中、ズボンのベルトを締め直す男がいた。
狭い部屋には自分とこの男だけしかいなかった。
「へへ、嬢ちゃん最後まで悪くなかったぜ。」
下衆た笑顔に汚らしい歯が光る。
その手にはナイフが握られ、これから行われるであろう解体ショーを待ち侘びているかのように、てらてらと光を反射していた。
これで最後。そう思うと幾らか気が楽になった。
既に無くなった四肢が、ギリギリと幻肢痛を感じさせるが、それももう少しの辛抱だ。
「この口が使えなくなるのは残念だぜ。」
男の汚らしい手が私の首を掴み、そのまま仰向けに押さえつけられる。
「最後まで俺の目を見て息絶えろ。その穢れた瞳すら、久遠様の供物となるのだ。」
人間の醜悪を煮詰めたかのような顔と、それを引き立たせるナイフが目に入る。
ああ、どうしてこんな目にあってるんだっけ。
愚花の意識が落ちると共に、ナイフが振り下ろされた。
………
……
…
本編
過去��
愚花が目が覚めると、そこはどうやら車の中だった。
「愚花、もうすぐ着くぞ。」
妙に上機嫌な声が運転席から響く。
(知識/アイデア)
成功:この声は父親の声だと感じます。
失敗:妙に懐かしい声だ。誰だっけ？と思う事だろう。
※判定成功失敗共通
愚花は気付くだろう。
既に失ったはずの四肢がそこにあるという事に。
そして、その見た目は随分と小さいものだった。
(SANC 0/1)
ふと、横を見れば窓に映る自分自身を見る事だろう。
そして愚花は再び驚愕する。そこにはまた随分と縮み、幼い顔付きになった自分自身がいた。
(SANC 0/1)
（探索箇所：外、車内）
▼外
木々が車の風を受けて、後ろへざあざあと流れていく。
どうやら此処は山かどこかの様だ。
▼車内
ピンク色の可愛らしいリュックサックが置いてある。
中を覗けばお弁当やおやつが入っている事だろう。
[質問
・ここはどこ？
→寝ぼけちゃったのか？山に遊びに行くって言ってただろ？
温泉街も近いし、どっか良い所があればいいんだけどなぁ。
・あなたは誰？
→ハハハ、こりゃ相当寝ぼけてるな。お父さん忘れられて悲しいなぁ！]
※ある程度茶番を挟んだら
貴方がそうしていると、車はスピードを緩め、開けた場所へと入り、止まった。どうやらどこかの村へと到着した様だ。
「お、こんな山奥に村があるなんて知らなかったなぁ。お父さん、ちょっと、ここら辺に眺めとかいい場所あるか聞いてくるから、愚花はここで待っててくれ。」
父親は村の奥へと消えていく。
■村 入り口
（探索箇所：看板、掲示板）
▼看板
「臣豆頁村」と書いてある。
ここの地名だろうか。
▼掲示板
村の中心に大通りがあり、その更に奥には神社がある様だ。
■大通り
愚花が大通りを歩いていくと、自分とあまり背丈の変わらない、着物の女の子が毬で遊んでいる。
周りの家屋は不気味な程静かで、今は誰もいないんじゃないかと思う程だ。
女の子(便宜上まりちゃんと記載) ※必須イベント
愚花が話しかける、または近くを通ると、女の子はにこりと笑顔を返し、話し掛けてきます。
「あら、この村の人じゃないね。どこから来たの？」
「そうなんだ。ねぇ、この村にはあんまり子供がいないの。良かったら友達になりましょう？」
質問
[・あなたは？
→この村に住んでるの。名前は…そうだ、私に何か名前を付けてくれない？友達同士ってそういう事をするんでしょう？
※まりちゃんは決して自分の名前を名乗らない。本当の名前、ちゃんとした名前が存在しない
(まりちゃん=水子の霊の集まりの為)
・お父さんは？
→お父さん？(一瞬暗い顔をして)そういえば、見ない顔の人が村人の人達に連れられて神社の方に行ってたかも。
・神社に行く
→…ふうん、行くんだ。暇だし私も行こうかな。（以降、真横についてくる。）
※まりちゃんは愚花意外に見えない。子供の愚花に興味があって姿を表した。]
▼神社
愚花が神社に着くと、本殿の中からわらわら声がする。
どうやら中に人が集まってる様だ。
中を覗いてみると、何やら皆が一様に巨大な岩を取り囲んで何かを呟いている。
その中の一人が愚花に気付くと、皆一斉に張り付いたようなニコニコ笑顔を愚花に向けて来ました。
その中にはどうやら、笑顔の愚花の父親も居るようだ。
「ああ、愚花。丁度呼びに行こうと思っていた所なんだ。ほら、こっちへおいで。」
・近寄る場合
（POW×3）
(成功で軽い目眩、失敗で立っていられない程の目眩）
愚花がその岩へ近寄ると、突然目眩に襲われます。
そして頭の中に誰かの声が響く。
「欲しい…身体が欲しい…」
・近寄らない場合
しかしその瞬間、愚花は首筋に強い衝撃を受ける。
ぐらり。目の前の景色が斜めにスライドしたかと思うと、愚花の意識は闇の中へと引きずり込まれていった。
※応じて近寄った場合も、応じずに動かなかった場合も、後ろから殴られて意識を落とします。
………
……
…
ゆらり。
瞼の裏で何かの光が揺らめいている。ひどく気分が悪い。
瞳を開けばそこは、先程の場所とは打って変わった場所だった。
薄暗く、座敷牢の様にも見えるそこに、愚花は寝転ばされている。
松明が灯っており、辛うじて部屋の中を見て回る事は出来そうだ。
※探索開始をし始めたら。
愚花がその部屋を見て回ろうとすると足に激痛が走る。
何だと下半身に目を向けると、今迄確かにそこにあった筈の左足が一本、ぽっかりと抜け落ちたかのように消えていた。
巻かれた包帯から滴る血液が、ぴちょんぴちょんと孤独な音色を奏でる。
SANc(1d3/1d6) HPを3にする。
※過去の記憶の中なので発狂は無し。
「愚花、愚花！」
愚花が激痛に苛まれていると、横からまりちゃんが心配そうに覗き込んで来ていた。
「…ああ、奴らに足を切られたんだね。かわいそう。きっと神様の貢ぎ物にされたんだわ。
どうしてこんな酷い事が出来るのかしら。」
質問
[・神様？
→この村に祀られている神様だよ。名前はくおんさま。
・なんで足を切られたの？
→くおんさまは身体が欲しいってずっと言ってるんだって。
だから2年に一度は人間の身体を切って捧げるの。
足、腕、足、腕、最後は首なんだって。
・なんで私？
→わかんない。でもたぶん、若くて外の人だからじゃないかな。
誰だって身内は殺したくないもんね。人ってほんと、酷いよね。
・あなたは大丈夫？
→私は好きに出入り出来るから大丈夫だよ。]
（探索箇所：祭壇、壁）
▼祭壇
狭い部屋ではあるが、松明の明かりに照らされて祭壇の様なものが見え、引き出しがあるのが分かる。
祭壇の前には白い布が被された何かも置いてある。
・引き出し
引き出しを開けるとそこには「贄帳」と書かれた古い書物があった。
ペラペラと捲ればそこには名前と年月日、そして「左腕」や「首」等、身体の部位が書かれていた。
最後のページには「（PL名）、XX年、〇月〇日、左足」と書かれている。
どうやらこれは、ここで四肢をもがれて供物にされた人たちの名簿では無いか？と愚花は思い至る。SANC(1/1d3)
（アイデア）
そして、名前が10年分連なっている人もいれば、一度しか書かれていなかったり3回程で別の名前に変わっている人もいる事から、苦痛に耐えきれず、途中で死んでしまった人もかなりの数いるのでは無いかと愚花は思い至ってしまう。
SANC（0/1d2）
・白い布
祭壇の前に置かれた白い布を捲ると、そこにあったのは…自分の足でした。
SANC(1/1d3)
足の前には一枚紙が置かれている。
「くおんさま
穢れの民の身をお持ちしました。
これを以って夲年、翌年の怒りを御鎭め下さい。
村の豊穣をお約束下さい。
次は腕をお持ちします。」
（それを見ているとまりちゃんが呟く）
「本当に人って酷いよねぇ。自分の為なら好きなだけ他人を犠牲にするんだから。
愚花はそんな奴になっちゃダメだよ。」
▼壁
座敷牢らしく、木が格子状になっている壁だ。実際、腕くらいなら通せそうな程目は粗く、壁といった感じはしない。
廊下は薄暗く、松明こそあるものの人の気配はしない。
（アイデア）
窓が無い事から、どこかの地下かなと思う。
※ある程度探索を終えたら。
ガチャリ。どこからから鍵を外す様な音が聞こえ、複数の足音が近づいてくる。
足音は愚花の部屋の前で立ち止まり、振り返る。それはこの様な人物だった。
（父親）（安部獄耀）
「ああ愚花！よかったねえ！足を捧げたからきっとくおん様にも気に入られたよ！
お父さんも鼻が高いよ！これからも皆さんの為に身体を捧げるんだよ！」
(目星)
そう話す父親の顔はらんらんと輝いていた。
しかし、その瞳はどこか曇っており、何かを狂信する盲目的な信者に見えない事も無かった。
父親の横にいた陰陽師風の男が口を開く。
「左様。くおん様は若い身体を捧げられた事で喜んでおられる。
但し、お主等は外の地より此処に参った穢らわしき存在。
喜ぶが良いぞ。今日より長きに渡り、この娘の身体は村の者により削り清められていく…。」
「はぁー…ありがたやありがたや…。愚花！
父さんもくおん様の為にこの村でしっかり働くから、愚花もしっかり精進するんだぞ！」
そう言い残すと、二人は去っていきました。
まりちゃん：
「本当に人間は勝手。愚花、此処で生き残るには人を恨み憎む位の強い心が必要よ。例え良くない感情でも、それが明日を生きる力になるわ。恨みなさい、憎みなさい。人を、世界を。」
（POW×1）
まりちゃんの言葉を聞いていると、次第に愚花は自信の中に何か、黒いものがふつふつと湧いてくる事を感じる。
やがてそれは愚花の意識を黒く塗り潰していった…。
………
……
…
過去��
愚花は再び目を覚ます。
そこはどこかの和室の様な所だった。
当たりを見渡せば、大きな本棚や机、扉がある。
そして、まりちゃんも居た。
「随分うなされてたけど大丈夫？そりゃそうよね。今日はあの日から2年…だものね。」
そう言われて身体を見れば、確かに先程よりも明らかに身体つきは成長している。ずっとボロを着せられた身体は、すこしきつさを感じているだろう。
※この時点で、HPやMPをMAXに戻す。
（探索箇所：本棚、机、扉）
▼本棚
（図書館/目星）
一部がズタズタに引き裂かれた本を見つける。
中を覗くと、ほとんどのページは判別出来なくなっているが、辛うじて読めそうなページがある。
「キャラクターの能力は、基本的に6面のダイスを振って決める。
STR(筋力) 3d6
CON(体力) 3d6
POW(精神力) 3d6
DEX(敏捷性) 3d6
APP(外見) 3d6
SIZ(体格) 2d6+6
INT(知性) 2d6+6
EDU(教育) 3d6+3
気に入らなければ何度でも（この先はズタズタに切り裂かれている）」
▼机
引き出しが付いたシンプルな筆机だ。
引き出しを開ければ、愚花は随分古い本を見つける。
赤い表紙の和紙で出来ているが、タイトル等は無い。
中には血液で書いた様なへたくそな赤褐色の字で、以下の様な事が書かれていた。
「つらい くるしい ぬけだせぬ
ああにくいひとがにくい なんどもなんどもころされた
いたみをわけましょ つらみもわけましょ
契りをかわしてたえましょう」
祓詞・苦衷（はらえことば・くちゅう）の習得
・苦痛を神と分けあい、緩和する。
・何か強い恨みを持たねば使えない。
▼扉
横開きの扉は、外側から鍵が掛けられているようでびくともしない。
（聞き耳）
外側から声が聞こえてくる。
「もうこいつはダメだな。精神を貢ぎ過ぎた。犬神様の餌にでもしておくか。」
「日が昇りっ ま 真昼に差しかかってピタリピタリと風が生暖かい風が吹いてくるんだよ、既に兄の声ではなく俺の真後ろで突然沸騰したに違いないんだザリザリと畳をはだしの足で物凄い高さのグレーの海が」
と聞こえてくる。
（アイデア）
意味不明な単語の羅列の声が、父親の声だと感じる。
SANC(0/1)
※ある程度探索を終えた所で
その時、がらりと扉が開いた。
そこには、屈強で大柄な、斧を持つ男、そしてあの陰陽師の様な男がいた。
「へへ、今年の供物もこいつですかい。」
「左様、だがくおん様へと身体を捧げる手前、内なる穢れを落とさねばならぬ。それには村人の精を注ぎ込む必要がある。」
「ああ分かってますよ、"穢れ落とし"ね。」
「……わかっとるとは思うが、この娘は大事な贄。殺すで無いぞ。」
そう言い残すと、陰陽師の様な男は部屋から出て行った。
大柄な男はにやりと笑うとズボンを下ろす。
そして愚花のボロ着に手を掛けると、無理やりに引きちぎった。
「ハハハハハハ、泣いても喚いても声は外に聞こえやしねえぞ。まぁ、聞こえても誰も助けねえがな。」
そのまま愚花の首を掴み、既に怒張した一物を貴方の中へと無理やりに押し込んだ。
ぶつり。
何かが切れる感覚と共に、下腹部から激痛が走る。
ああ今自分は、どこの誰とも知らない男に純潔を散らされたのだ。
SANC(1d2/1d4) ダメージ1d4(祓詞を使用していた場合は半減)
※まりちゃんはこの間ずっと歯を食いしばり、恨めしそうに男を睨み続けている。
愚花の首を掴んだまま、暫く男は腰を振り続ける。
愚花が痛みに堪えていると、不意に男の身体が震えた。
ごぷり。脈動と熱い物を下腹部に感じた。
出されたのだ、何かを中に。
「あ〜あ、良かったぜぇ。それじゃ、穢れも落ちた所で右手とオサラバすっか！」
男は腕を首から愚花の右手へと掴み直した。
※祓詞を唱えていない場合はまりちゃんが使う様に言う。
そのまま間髪入れずに斧が振り下ろされる。
ぎちゅり。
肉が裂け、骨が砕ける音が狭い室内に何度も木霊する。
切れ味が悪いのだろう、何度も何度も振り下ろされる。
筋肉の繊維や神経だろうか、その一本一本が斧の刃に引きちぎられ、ぶち、びち、ばつんと取れていく。
目の前が白黒に明滅する。それは痛みからだろうか、ショックからだろうか。分からない。とにかく、この苦痛から早く逃げたかった。
SANC(1d3/1d6) ダメージ1d10(祓詞を使用していた場合は半減)
※この時、まりちゃんを見ると血を吐いて倒れています。
（POW×1）
つらい、苦しい、憎い。
憎悪の心が満ちると共に、愚花は再び意識を落とした。
………
……
…
過去��
うだるような暑さと、セミの喧しさであなたは目を覚ました。
今度の場所は、そこそこの広さの納屋の様な場所だった。
床には藁が敷かれ、縦一文字に割れた屋根からは太陽が降り注ぎ、丁度その下には床の補強の為なのか、鉄板が敷かれていた。
その奥で見慣れた顔…まりちゃんが倒れている。どうやら気を失っている様だ。
※己の邪気と淀みで弱っている。水をお供えする事である程度晴れる。
※もし近寄る場合は、右腕と左足を失っているので、這いずるしかない。
鉄板は熱されている為、通る時にダメージを受ける。
夏の太陽を長時間浴びた為に異常なまでに熱された鉄板を、愚花は這いずる。
ジュウ、という音と共に、腕の皮膚が焼けていくのを感じる。
(鉄板は通る度に1d5ダメージ。祓詞で1/2)
※まりちゃんが目を覚ましてからは、鉄板を通ろうとすると祓詞を使うようにアドバイス。
鉄板を渡ってまりちゃんに近寄ると、彼女が目を開く。
「ああ…(PL名)ごめんなさいね、ちょっと身体の調子が悪いの。」
そういうと彼女は咳き込む。
「…ごめんなさいね。ちょっと水があればいいのだけれど。」
（探索箇所：がらくた置き場、散らばった本の残骸、壁の傍）
▼がらくた置き場
（目星）
がらくたの残骸に紛れて、液体の入った小瓶や、ガラスのコップ等を見つける事が出来る。
※小瓶は開けると強い香り漂う。香水という事が分かる。
▼散らばった本の残骸
ここに廃棄されてから随分と経つのか、劣化が酷い。
表紙は半分ぐらい日焼けで読めなくなってしまっているが、読める本も幾つかありそうだ。
中でも、朱色の表紙の本が目を引いた。
[題：■■頁村の成り立■と■■神社
臣豆頁村は古来より水子※供養の神社として細々と紡がれてきた村である。
その水子の規定範囲は特異であり、人のみならず、畜生や歌人の完成しなかった句、建立中に災害等で無くなった寺社等多岐に渡る。
一説には神社の創設者が、この世ともあの世ともまた違う別の世を視る事が出来、全ての生まれずに消え行った御魂を救いたいと願った為に、この特異な範囲の水子供養をするに至ったと言う。
水子の御霊は純新無垢な白絹の様である為、無闇に邪気に晒すのは避けるべきである。
数年前にも近隣の殺生石を村に移転させる話が持ち上がったが、猛反発をした事により事なきを得た。
殺生石の様な邪気の強い物を置けば、元々祀られている御霊にどの様な障りがつくのか、想像も出来ない。
※水子…この世に生を受ける前に亡くなった者の事]
▼壁のそば
天井からぼたぼたと水が垂れ落ちてきている。
コップを下に置いておけば、水で満たす事が出来そうだ。
また、近くに本の切れ端の様な物が落ちている。
[霊の嫌う物:光り物、強い芳香、硝子等のぶつかる清らかな音
低級霊や、弱った霊魂等であれば、これらで撃退出来るでしょう。]
・祓詞を唱えて鉄板を渡った場合
まりちゃんの皮膚は愚花と同じ様に焼け、ジュウジュウと爛れていく。
苦しそうに呻き声を上げるが、文句などは一切言わない。
・水の入ったコップをまりちゃんに渡す。
「ありがとう…ふふ、愚花がいるからなんとか私も生きていられるわ。そこに置いといて？」
まりちゃんの指示通り、愚花は床にコップを置く。
まりちゃんはそれを一瞥すると、眉間に力を込めた。
すると、コップにあった水がひとり手に減ってゆく。
不思議で不気味な現象にSANc(0/1)
(アイデア)
愚花はなんとなく、仏壇のお供え物みたいだな、と思います。
※ある程度探索を終えたら
愚花がそうしていると、ギリギリと壁がスライドしていく。
どうやら納屋の扉が開いた様だ。
ちらりと顔を向ければ手にマチェットを持つ執行人、あの男がいた。
「よぉ〜〜愚劣手 愚花、今年も贄になる時間だぜ。」
「だがその前にお清めだよなぁ！」
男に残った四肢を捕まれ、下腹部にブツを押し込まれる。
あの時程ではないが、やはり痛い。(ダメージ1d4、祓詞で1/2)
そして当然の様に中へと出される。SANC(1/1d2)
しかしこの後起こる事の方が、当然ながら痛かった。
「あぁ〜。清め終わったからじゃあ、今回は右足とおさらばすっかあ。」
男は軽快に喋ると、なんの躊躇も無い一撃を愚花の右足に振り下ろす。
運動も栄養も不足気味な太ももは、簡単に刃を受け入れた。
ぐちり。刃に肉と骨が押し切られていく。痛い、痛い痛い痛い痛い。
SANC(1d3/1d6) 1d5+5ダメージ 祓詞で1/2
※まりちゃんを見ると恨みがましい目で男を見つめ、血を吐いている。
太ももから大量の血液と熱が漏れ出ていくのを感じる。
死ぬというのはこういう事だろうか。気絶の時とはまた違う感覚。
意識が暗い穴の中に落ちていくかの様な感覚に襲われる。
ああ、今回こそ駄目だ。そう思っていると
「そうはさせない」 「生きて」 「奴らに仕返ししなきゃ」
聞き慣れた声がする。と同時に抜け落ちた熱が身体に再び戻ってくるのを感じた。
それと共にまた、どす黒いなにかも。
何故自分は生まれてきたのだろうか。こんな苦しい思いをする為だったんだろうか。
後悔や憎みに足元を捕まれ、意識は黒い感情の中へと堕ちていった。
………
……
…
過去��
愚花は頬にこそばゆい感覚を感じて目を覚ます。
目を覚ませばアシダカグモが頬の山を登山していた。
辺りは相変わらず薄暗く、今回は廃墟の様な座敷牢に見える。
身体を見れば、残るは左手1つ。無惨にも両足と右手があったであろうそこには、空虚な空間しか無かった。
残った部分の身体付きこそ、この村へ来た時よりも随分大きくなったが、その分厭に歪な身体となってしまった。
部屋を見渡せば廃棄された本棚、そして壁を背に眠るまりちゃんがいるだろう。
(探索箇所:廃棄された本棚、まりちゃん)
廃棄された本棚
所々木が腐り落ちたボロボロの本棚だ。
随分古く見えるが、いくつか本のような物が入っている。
(図書館/目星)
愚花は何か、かなり古い日記帳の様な物を２冊見付ける。
それぞれ漢字で壱、弐と書いてある。随分古いために読めないページもありそうだが、一部の日記はまだ読めそうだ。
[壱
〇月〇日
再三あの岩を持ち込むなと言っていたにも関わらず、あの莫迦息子は持ち込んで来た。どんなものかも知らずに…。
本当に余計な事をしてくれた。
〇月〇日
夢に童が現れた。恐らく社に祀る水子様だろう。
悲しそうな眼をしておられたが、暫くすると黒い影になって消えてしまわれた。
矢張り、あの邪気を放つ殺生石の影響を受けておいでなのだろう。早々にどこぞへ移さねばならん。
明日、獄耀を再度説得してみよう。
〇月〇日
迂闊だった。既に村人も莫迦息子もあの邪気に取り込まれてしまっていた。
なんとかこの日記だけは持ち込めたが、座敷牢に捕らわれてしまった。
病さえ無ければ大立ち回りを演じられたやも知れぬが、歳を取ったか。]
[弐
〇月〇日
水子様は病床に伏す私の前に、度々姿を現す様になった。
男や童、狸等様々な御姿で現れるが、どうやら最近は少女の姿が気に入っているご様子。
しかし、口を開く事こそ無いものの、近くにおられると恨み辛みの感情が流れ込んでくる。生まれたかった、存在を認めて欲しかった、名を呼んで欲しかった…。
…水子様が祟神に変容し掛かっておられる事は明白だ。何も出来ない事がもどかしい。
〇月〇日
もう私は駄目だ。不思議と苦しみは全く無く、邪気に取り込まれずに死ねる事がせめてもの救いか。
しかし、水子様といえばおぞましい祟神に御姿を変えてしまい、何処かへ行かれてしまった。
せめて名くらい呼べれば良かったのだが、私には呼び名が分からぬ。
今後、此の日記をいずこで読む者が居れば、可哀想な弱き神を救ってあげて欲しい。
それだけが今の心残りだ。
どうしてこの世に生を受けられた者同士で争うのかしら。
また一人になってしまったわ。……憎い。]
まりちゃん
愚花がまりちゃんへ近寄ると、眠っていたまりちゃんの瞼が静かに開きました。
そして、愚花の瞳と残った左腕を交互に見ます。
「あら…愚花、大丈夫？」
「大丈夫…って感じじゃないよね。今日はあれから二年、最後のその腕も今日でさよならだものね。でも安心して、愚花に降りかかる苦痛は私が受け持つわ。だって愚花は私の唯一の友達だもの。」
質問一覧：
[祟神なの？
→…その質問をしているという事は、あの日記を見たのね。…さぁ、祟神の定義が分からないから私にはなんとも言えないかな。でも、私が人じゃない存在なのは間違いないかな。隠していたわけじゃないけど、ごめんなさいね。
名前は？
→昔は無かったけど…今は、愚花がつけてくれた立派なまりちゃんって名前があるじゃない。この名前があるからこそ、私は私でいられるの。…愚花が本当に困ったとき、私を呼んで？何に代えても愚花を助けるわ。覚えていてね。
共通
→…ねぇ、もう私たち、長い間一緒にいるでしょう。私、姉妹という存在に憧れてたの。良かったら、私たち契りを交わさない？ちょっとした契約が必要になるんだけど。
了承する
→ああ良かった。ええとそれじゃあね、愚花の残った左指…どの指でもいいわ。愚花の血をつけて私の手の甲に血判を押して欲しいの。血の契約って言うと聞こえは良くないかもしれないけど、出来るとしたらこれで最後かなと思って。
血判を押す
→…ふふふ。嬉しいわ。どうなんだろう、この場合は私がお姉ちゃんなのかしらね。大丈夫よ、これからも貴方の事は支えるわ。]
※ある程度探索を終えたら
暫くすると、座敷牢の外からのしのしという足音が近付いて来る。
ギイッという重苦しい音が鳴ったかと思うと、入ってきたのはまた、あの男だった。
「おうおう嬢ちゃん、元気にしてたかい！上玉に育ってるなぁ！ま、それも後2年の命だけどよ！」
男は無造作に愚花の腕を掴むと、空中へ引っ張り上げた。
「今日のお清めはこっちも試してみるか！」
そのまま男の一物が口元へ滑り込んで来る。
怒張したそれを拒み切る体力は貴方に無く、喉の奥までずぼりと挿し込まれた。
SANC(1/1d3)
しかし、不思議と痛みや身体の不快感は感じなかった。代わりに、隣から「ぐぅっ…」というくぐもった、苦しそうな声が聞こえる。
隣に目を見やると、そこには涙目のまりちゃんが喉を抑えて苦しそうにしていた。
「大丈夫よ…愚花、貴方は私が守るから。」
まりちゃんはキッと男を睨むと、呪詛の様に何かを呟く。
（聞き耳）
「コロス、コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」と呟いているのが分かる。
しばらくの後、生暖かい液体を喉奥に出された。
まりちゃんは咳き込むと嘔吐する。そこには血ともヘドロとも言えない黒い液体が広がった。
「ふぃーっ…気分爽快だぜえ。じゃあ、次はこれだな。」
ばっさり。躊躇い等は無い様だった。
一瞬の浮遊感の後、嫌な音と共に床に叩きつけられる。
上を見れば、男の腕から、先程まで自分の身体の一部だった細い腕がぷらんぷらんと力なく垂れさがっている。その切り口からは、赤黒い体液がぼどぼどと垂れ落ち、床に跳ねていた。
SANC（1d3/1d6）
しかし、不思議と今回も痛みは無かった。四肢がもがれているのにも関わらず。
「アァァァアアアアアア…！！」
横を見れば、まりちゃんが腕を抑えてうめき声を上げている。
その指の隙間からは、夥しく黒い液体が噴き出す。
まりちゃんの瞳には先程の易しく可愛らしい、らんとした輝きは無く、塗りつぶされた様な大きな黒目は苦痛に歪み、化け物じみた恨みの表情が読み取れた。
「コロス！コロス！コロス！」
歯の間から漏れ出す様に、怨嗟の言葉が漏れ出ている。
「なんだぁ？お前。腕切ったってのに悲鳴の一つもねぇなんて気持ちのわりいやつだなあ。俺はお前の悲鳴も楽しみの一つにしてんだからよお、しっかり鳴けや！」
愚花はゴム毬の様に蹴飛ばされた。
蹴られた衝撃や失血の為だろうか。痛みこそ無いが、愚花は急激に意識が暗転していった。
………
……
…
現代
随分と長い夢を見ていた気がする。
いや、これこそが今際の際に見る走馬燈だったのかもしれない。
結局、自分の人生はなんだったのか。贄としての人生か？
既に、苦痛として過ごした人生の方が長い時間になっていた。
あれ以来、まりちゃんの姿は見ていない。最後の姿は随分と苦しそうだった。
もしかして死んでしまったのだろうか？
そんな事を考えながら、ゆっくりとナイフが眼前に迫っているのをなんとなくボーっと眺めていた。
どちらにせよ、四肢が無いので避け様も防ぎ様も無い。
ああ困ったな、これはどうしようもなさそうだ。
※1度だけ行動出来ますが、どうしますか？とPLに問う。
もし何も思いつかなければ、アイデアで「名前を呼ぶ」事を思い出させる。
▼まりちゃんの名前を呼ぶ
貴方は彼女の名前を呼んだ。
どくん。心臓が強く跳ねるのを感じた。
「久しぶりに呼んでくれたねぇ、私の事忘れちゃったのかと思った。」
「死に目に会いたくなかったから潜んでたけど、名前を呼ばれたら出てくるしかないよね。」
脳に懐かしい声が響く。それと同時に乾ききっていた心に、黒い粘性のあるどす黒い感情が流れ込んでくる。
「駄目だよ、愚花。こんな所でくたばっちゃ。貴方は私の親友であり妹なんだから。私が決して殺させはしない。」
「…むしろ死ぬべきは、こいつ。」
（POW×5）
※成功失敗関係無し
気付けば身体、いや、顔が動いていた。
目の前まで来ていたナイフを、獣の様な速度で噛み抑える。
生きる事を諦めかけていた心は塵の様に吹き飛び、ただ生の衝動にしがみつくかの如く、刃に歯を立てた。
当然、易々と殺される筈だった少女が抵抗を見せた事により、男は目を丸くする。
「な、なんだコイツ…！黙って贄になり…やがれ！！」
（STR15との対抗）
流石に力では分が悪い。
拮抗するナイフが少しずつ横にずれ、口の横から頬にかけて、どんどんと裂けていく。
しかし、痛みは無かった。
「ぐっ…よく頑張ったねぇ、愚花。そう。貴方は生きなきゃいけない。
この世界に生の一つも受けれなかった私達の代わりに！！」
そんな声が聞こえると同時に、何か巨大な影と共に男が横へ吹き飛ばされた。同時にナイフもその場へと落ち、カランカランと乾いた音を鳴らす。
「な…何が起こったんだ…！？か…身体が重い…！立てねぇ…！」
男が飛んだ方向に目を向けると、なんとも形容しがたい、おぞましい何かがいた。
人の頭髪の様な髪、鳥の様な翼、馬の様な体躯、どの生物としても中途半端な集合体がそこには居た。
SANC(1d4/1d8)
その何かは、男の頭部と身体を前足で器用に抑えている、が、男にその化け物は見えていないようで、ジタバタと身体をばたつかせている。
「く…案外力が強いなぁ…弱り切った身体には応えるね。」
「愚花！私の身体を貸してあげる！私がなんとか抑えてるから、トドメを刺して！！」
そういうと、愚花は四肢の付け根に激痛を感じる。
目をやれば、黒い枝の様な骨格が生え、それらがどんどんと太く、成長していく。
ある程度の太さになった所で、赤い繊維質な髪の毛の様な何かがそれらに巻き付き、形を成していく。
本来愚花が普通の生活をしていれば、当たり前の様に持っていたもの。
そう、四肢だった。
しかし、それらは赤く、継ぎ接ぎだらけであり、通常の見た目とは大きくかけ離れていた。
SANC(1/1d2) ※STR、DEXを18にする。
そして、それらは愚花の自由に動かす事が出来ると気付くだろう。
▼ナイフを拾い、男の首に刺す。
貴方はナイフを拾い、男ににじり寄った。
「このアマ…一体…お前はなんなんだ！！この…化け物め！！よ、よせ…近寄るな！！」
ぐさり。愚花は男の喉にナイフを突き刺した。ゴボゴボと音を立て、男が自らの血に溺れる。
そして暫くの後…男は白目を向き、絶命した。
SANC(1/1d2)
「はぁ…はぁ…ありがとう、今度は共犯者になっちゃったわね、愚花。人の姿を保ってられなくてね。なんだか分からない姿になっちゃった。分かる？私の事。」
・分かると答える。
「ふふ、そっか。流石ね。知ってる？共犯者ってこの世で最も親密な関係らしいよ？」
※しばらく話していると
そうあなた方が話していると、不意にドカン！！！という耳をつんざくかの様な爆発音と振動がする。
天井からは土埃がパラパラと落ち、降りかかる。
「これは一体…？愚花、早くここから出た方が良いわ。」
▼男の死体を漁る場合、
ポケットから、恐らくこの座敷牢のものであろう鍵が出てくる。
それを使えば、問題無く牢から出れる
▼座敷牢の扉を破壊
耐久15を与えれば破壊出来る
・廊下
薄暗い廊下の奥は階段になっており、先程の振動、あるいは爆発のせいか、
瓦礫が散乱し、上から光が差している。
出ようとすれば外に出られる。
・外
瓦礫を慎重に登り上がるとそこは、久方ぶりの外だった。
しかし10年程前に見た村とは随分様子が違い、ただただ荒れ果てた瓦礫がそこには広がっていた。
見れば、そこかしこには村人の凄惨な死体が転がっており、いつか見た陰陽師も血だらけで倒れたりしていた。
ガラリ。
瓦礫を踏みしめる音が後ろから聞こえる。
後ろを振り向くとそこには、一人の男が居た。
銀色の髪に浅黒い肌、金色に光る眼に赤黒の着物。額からは血を流しているものの、邪悪な表情からは、微塵の痛みも感じていない様に読み取れた。
「お、お前は…久遠…様」
まりちゃんが後ずさる。
まりちゃんを見ると、その男は口を開いた。
「ほう…？貴様…水子の集まりか。成程、これまた面倒な奴が出て来たものじゃ。」
「同じ場に封印されていた儂の封印が解ければ、貴様が何不自由無く外を歩けるのも通りよな。じゃが、貴様はことこの世界において影響が大きすぎる。」
「外の世界を感知出来る貴様の存在は、この現し世の理を崩壊させかねん。
どうやらその娘を誑かしてなんとか出て来た様じゃが、また一人大人しく岩間で悠久の時を過ごすが良い。」
そう男が言うと、後ずさっていたまりちゃんも顔を上げます。
まりちゃん：
「ふざけないで！誑かしてなんかいない！
お前たちと違って私…いや私たちは生まれたくても生まれられなかった存在だ！
存在しようともがいて何が悪い！」
「元はと言えば今、私たちを見ているこいつら人間どもが！面白半分に何度も何度も賽を振るのが悪いのだ！やれ力が無い、やれ器用さが無い、やれ醜いだのと！賽を振る度に私達の魂が引き裂かれ、棄てられているとも知らずに！！お前のその傷も連中の手先にやられたんでしょう！！」
久遠：
「はぁ…やはりこの世に生も受けたことも無い小童よ。いけしゃあしゃあと喚き散らしおってからに。」
「確かに貴様の言う通り人間は勝手じゃ。気に入らなければ作り直す。例えそれがキャラクターとして体を成す前の未熟な魂であろうともな。しかし喚いてどうなる？あやつらの意思にはそうそう逆らえん。罪の意識すらある訳無かろう。」
「そして貴様は、いや貴様らの魂はその脆弱さ故、人間どもに選ばれなかった。それだけの話よ。未熟な魂が幾重重なった所で、その内情は愚かの極みよ。大人しく自我は棄てて再び儂の中で眠りにつくがよい。」
そういうと、男はまりちゃんに指を向けます。
すると、まるで吸気口の様にその指先に向かって風が舞い上がり、吸い込まれていく。
まりちゃんや愚花の身体からも、何か黒い粒子の様なものが出ていき、どんどんと吸い込まれていく。
（POW1d5減少）
まりちゃん：
「が…あ…！…やめて…やめて！私は存在したい！
誰かに認められたい！ここに居てもいいよって言ってもらいたいだけなの！！！」
「助けて、助けて愚花！！」
※どうしますか？タイム
ナイフや瓦礫を久遠に投げるのであれば、久遠は一時的に動きを止める。
「…ほう？なんのつもりだ小娘？」
・止める旨を話す。
「舐めおって…もうよい、今日は虫の居所が悪いのだ。お前ら全員皆殺しだ。」
戦闘開始です。
戦闘：久遠
▼戦闘開始
久遠
全ステータス18 1ターンにつき5点迄しかダメージを喰らわない。
・鬼道【獄火】 50% 1d6
・鬼道【黄泉吸】40% 1d3 HP吸収
まりちゃん：
「弱ってるとはいえ、あいつの正体は大妖怪…このままじゃ勝ち目は無いよ。」
「ねぇ、愚花。私を信じる？」
・信じる
「ふふ、ありがとう。…あのね、少しの間、身体を貸して欲しいんだ。」
「私は肉体が無い。この姿も色濃い魂として存在してるだけなの。」
「だからこの姿を、愚花の血肉を使って再現出来れば、十分今のあいつに対抗出来る力になると思うの。」
・了承する
「ありがとう…それじゃあ、借りるわね。」
ふっと、愚花は胸に何かが入り込んでくる感覚を感じた。そしてその数瞬の後、感情の洪水が流れ込む。
暗い、冷たい、生きたい、生まれたい。
まるで赤ん坊の泣き声の様に純粋な、それらの悲痛な声が愚花の心の中に激しく波打っていく。それと同時に、赤い腕の継ぎ接ぎが解れ、中から異形の四肢が肥大化し、露になっていく。
四肢だけではない。身体全体がバキバキと骨格を変え、異形の何かに成り代わっていく。
気付けば愚花は、先程見た異形の獣へと姿を変えていた。
SANC(1d3/1d6)
化け物（愚花）
HP：20
DEX：20
ガッツ1回
攻撃方法
噛禍(噛み付き) 80% 1d20
淵化(MA) 60% 1d6
久遠がごちる
「チッ…面倒な…。娘の血肉を使ったか。」
頭の中で、まりちゃんの声が響く
「ああ…これが身体がある、存在しているって事なのね！なんて素敵なのかしら…。尚更あいつに負ける訳には行かない。いくよ！愚花！」
▼戦闘終了
久遠が片膝をつく。
「チィ…小娘二人の癖によく抵抗するでは無いか。しかしそこの…愚花といったか。
そいつは最早貴様の身体にも精神に寄生している。障りを引き受けるという事は容易い事では無いぞ。
お前が望めばその禍つ神を消してやってもいいんだぞ。」
・承知しない
「…ハン、強情な奴め。気に食わんがその無様なまでに意地汚い存在への執着は認めてやろう。」
「おい水子！その娘と二人、この世界で何が出来るかやってみろ。
きっと人間に絶望し、滅亡させてやりたくなる事もあるだろうがまぁ…その時は力を貸してやらんでもない。」
「はぁ…儂はもう疲れた。慣れぬ身体で1000年ぶりによく動いたからのう。」
「しかしその邪気だけは貰って行くぞ。それは元来儂のモノじゃ。」
彼が指をクイと動かす。すると、愚花達の身体中から黒い煤のようなものがフッと出ていき、彼に吸い込まれた。
不思議な事に、愚花が今まで抱えていた恨み辛みの感情や、聞こえていた哀しみの声が消えていく。あるのはただ、晴天の下、清々しい気持ちだけだ。
煤を全て吸い込むと、満足したのかその男はニヤリと笑うと、煙の様にその場から姿を消した。
▼エピローグ
「なんとか…なったみたいだね。」
力を出し切った愚花の身体も、しおしおと縮み、やがて手足の無いいつもの愚花の身体に戻っていった。
「はぁ…ちょっと張り切り過ぎちゃったみたい。もう手足も出してあげられないや」
「暫くは弱い霊魂の状態で、貴方の近くで魂が癒えるのを待つわ。愚花のお陰で身体を作る感覚が掴めたから、万全な状態なら腕も、自分の身体も再現出来ると思うの。」
「そしたら今度は、本当の身体を持って愚花に会えるわ」
「ねぇ、愚花、私、この世界に存在しても良いのかしら。」
・もちろん
「ふふふ、優しいのね。ありがとう。」
「それじゃあ、寝ましょうか。もう疲れたでしょう？
後の事は大丈夫。きっと心配いらないわ。だって今まであんなに苦難を乗り越えたじゃない。」
「おやすみなさい、愚花。」
愚花は久々の激しい運動に疲れ果て、瓦礫の上にも関わらず眠りについた。
数時間後、大規模災害のあった村に現場調査に訪れた化弥魔 利奈、潤によって愚花は救出された。
愚花の凄惨すぎる風貌から事件性を感じた軍事学部は警察と協力し、村の跡地の調査を行った。しかし、大穴があるか瓦礫の山しか無かった為にロクな証跡も見つからず、早々に捜査は打ち切られた。
また、心的外傷後ストレスが懸念される事から、あなたに対する追求も無く、愚花は施設へと預けられた。
そうして暫く月日が経った後。
■施設
「愚花！もう起きてるかしら？」
いつもの声が響く。いつの間にやら施設に入居していたまりちゃんが、扉から愚花の部屋を覗いていた。
「手足の調子はどう？」
あれ以来、愚花に生やした手足の調子を見に来るのが彼女の日課になっていた。
「うん、今日も元気そうね。それじゃあ今日はどこへ行こっか？」
「そーうだ、近くに新しいアクセサリーショップが出来たんだって。お揃いのアクセでも買いにいきましょ！」
無くした青春の時間を取り戻す為なのか、身体を持ったらやってみたかったからなのか。
それは二人にしか分からない。いや、きっと両方なのだろう。
年甲斐も無く二人は手を取り、元気に外へと駆けて行く。
夏の風と太陽を受け、2人の黒髪が艶やかに光った。
だが、1番眩しいのは2人の笑顔だった。
おめでとうございます。
シナリオクリアです。
3d10 SAN回復。
AF：挧蟐彁之口蓋垂装身具獲得。
四肢の無い愚花は自身に振り落ちる得物をぼんやりと眺めていた。
ああ、酷い人生だったなあ。つらかったなぁ、苦しかったなぁ。
……どうしてこんな事になったんだっけ？
愚花は死を覚悟して目を閉じる。その瞼の裏には、過去の情景が走馬燈の如くリフレインしていた…。
背景
那須の山奥に存在する限界集落、臣豆頁村。
外部との接触を極端に断つこの村は、水子供養の村として古くから村民がひっそりと暮らしていた。
しかし、神職のバカ息子が近隣の地域から殺生石を持ち込んでしまい、平穏は打ち砕かれる。
この殺生石こそ邪悪な大妖怪「久遠」が封じられた邪気を放つ岩だったのだ。
岩から漏れ出る邪気に当てられ、臣豆頁村の住人はどんどん久遠の狂信者となっていき、遂にはほぼ全ての村人が狂信者となってしまった。
岩から漏れ出る「身体が欲しい」という欲望を曲解し、村人は外部の人間を拉致監禁して二年に一度四肢を切り落として岩へ捧げる。
そんな村へ偶然やってきてしまった愚花を待ち受ける運命は、残酷なものだった。
一方で、元々祀られていた水子の魂達も、殺生石の影響を受けてしまった。
邪気という強い意志に晒され、魂の集合体が自我を獲得してしまったのだ。
自分がこの世に生を受ける事が出来なかった事について、人に対する怨みや辛みが溜まってゆく。そして、久遠の狂信者だらけになってしまった村では水子供養も神社への信仰も行われない。
淀みは濾過される事なく、次第に黒くなっていった。
憎い、人が憎い。
気付けば御霊の集まりだったそれは、祟神へと変貌していた。
漏れ出た障りは人々の身体や精神を更に蝕んでいった。
そんな矢先、村へと一人の少女がやってくる。
始めは好奇心や、精神の近い子供という事で近付いたものの、陰惨な村人の仕打ちを間近で見ている内に、少女の感情に同調、次第に少女の支えになろうと気持ちが動いていく。
最後は少女と1つになって強敵に立ち向かい、とても身近な仲になるのだった。
登場人物
愚劣手 愚花
山に遊びに行こうとして臣豆頁村にたどり着いてしまう。
村に捕らえられ、監禁、拷問、強姦の限りを尽くされる。
そりゃ人を怨みたくなったり、自分が生まれてきた意味も考えてしまうよね。
愚花の父親
家族サービスで愚花を山へ連れてきたが、臣豆頁村の殺生石の邪気に晒されて教信者化。
娘を差し出して凄惨な目に合わせてしまう。
その後、気が完全に狂ってしまい、細切れにされて山犬の餌にされた。
安倍獄耀
臣豆頁村の神社の住職。
最初期に殺生石の邪気に当てられた人物。
こいつのせいで凄惨な目にあった人が多くいる。
最終的には久遠復活の際に死に絶える。
執行人の男
愚花を清めと称して犯し、四肢をもぎ取る異常人物。
極度の加虐嗜好持ち。最終的には愚花に殺される。
当然の結末。
久遠
殺生石の中にいる大妖怪。その本性は九尾の狐。
最後に出てくるが、別のセッションでボスとして倒された後なのでステータスが大分下がっている。とはいえ強力。
挧蟐彁
名前は無い。愚花が名付け親になる。（使用している文字はすべて幽霊文字）
元々は水子の霊の集合体であり、プレイヤーがキャラクター作成時にダイスを振り直す度に消されていく未熟な魂達。
愚花と仲良くしたいが為に、会う度に姿を成長させている。
様々な姿になる可能性があった為、どんな姿にでもなれる。
幽霊な為、ポルターガイスト以上の力は中々出せない。
定形の姿を取るのは意外と力を使うため、淀みの深化が進んだ最後の方は、化け物の様な姿になってしまった。
最終的に邪気を全て久遠に吸い取られ、かつ神社が消失した為、自由に現世を動けるようになった。
導入
どろり。
下腹部から何かが垂れ出る感覚で目が覚める。
枯れた喉からは声さえ出ず、ヒューヒューと虚しい呼吸音だけが響いた。
目の前にはロクに照明も無い薄暗い部屋の中、ズボンのベルトを締め直す男がいた。
狭い部屋には自分とこの男だけしかいなかった。
「へへ、嬢ちゃん最後まで悪くなかったぜ。」
下衆た笑顔に汚らしい歯が光る。
その手にはナイフが握られ、これから行われるであろう解体ショーを待ち侘びているかのように、てらてらと光を反射していた。
これで最後。そう思うと幾らか気が楽になった。
既に無くなった四肢が、ギリギリと幻肢痛を感じさせるが、それももう少しの辛抱だ。
「この口が使えなくなるのは残念だぜ。」
男の汚らしい手が私の首を掴み、そのまま仰向けに押さえつけられる。
「最後まで俺の目を見て息絶えろ。その穢れた瞳すら、久遠様の供物となるのだ。」
人間の醜悪を煮詰めたかのような顔と、それを引き立たせるナイフが目に入る。
ああ、どうしてこんな目にあってるんだっけ。
愚花の意識が落ちると共に、ナイフが振り下ろされた。
………
……
…
本編
過去��
愚花が目が覚めると、そこはどうやら車の中だった。
「愚花、もうすぐ着くぞ。」
妙に上機嫌な声が運転席から響く。
(知識/アイデア)
成功:この声は父親の声だと感じます。
失敗:妙に懐かしい声だ。誰だっけ？と思う事だろう。
※判定成功失敗共通
愚花は気付くだろう。
既に失ったはずの四肢がそこにあるという事に。
そして、その見た目は随分と小さいものだった。
(SANC 0/1)
ふと、横を見れば窓に映る自分自身を見る事だろう。
そして愚花は再び驚愕する。そこにはまた随分と縮み、幼い顔付きになった自分自身がいた。
(SANC 0/1)
（探索箇所：外、車内）
▼外
木々が車の風を受けて、後ろへざあざあと流れていく。
どうやら此処は山かどこかの様だ。
▼車内
ピンク色の可愛らしいリュックサックが置いてある。
中を覗けばお弁当やおやつが入っている事だろう。
[質問
・ここはどこ？
→寝ぼけちゃったのか？山に遊びに行くって言ってただろ？
温泉街も近いし、どっか良い所があればいいんだけどなぁ。
・あなたは誰？
→ハハハ、こりゃ相当寝ぼけてるな。お父さん忘れられて悲しいなぁ！]
※ある程度茶番を挟んだら
貴方がそうしていると、車はスピードを緩め、開けた場所へと入り、止まった。どうやらどこかの村へと到着した様だ。
「お、こんな山奥に村があるなんて知らなかったなぁ。お父さん、ちょっと、ここら辺に眺めとかいい場所あるか聞いてくるから、愚花はここで待っててくれ。」
父親は村の奥へと消えていく。
■村 入り口
（探索箇所：看板、掲示板）
▼看板
「臣豆頁村」と書いてある。
ここの地名だろうか。
▼掲示板
村の中心に大通りがあり、その更に奥には神社がある様だ。
■大通り
愚花が大通りを歩いていくと、自分とあまり背丈の変わらない、着物の女の子が毬で遊んでいる。
周りの家屋は不気味な程静かで、今は誰もいないんじゃないかと思う程だ。
女の子(便宜上まりちゃんと記載) ※必須イベント
愚花が話しかける、または近くを通ると、女の子はにこりと笑顔を返し、話し掛けてきます。
「あら、この村の人じゃないね。どこから来たの？」
「そうなんだ。ねぇ、この村にはあんまり子供がいないの。良かったら友達になりましょう？」
質問
[・あなたは？
→この村に住んでるの。名前は…そうだ、私に何か名前を付けてくれない？友達同士ってそういう事をするんでしょう？
※まりちゃんは決して自分の名前を名乗らない。本当の名前、ちゃんとした名前が存在しない
(まりちゃん=水子の霊の集まりの為)
・お父さんは？
→お父さん？(一瞬暗い顔をして)そういえば、見ない顔の人が村人の人達に連れられて神社の方に行ってたかも。
・神社に行く
→…ふうん、行くんだ。暇だし私も行こうかな。（以降、真横についてくる。）
※まりちゃんは愚花意外に見えない。子供の愚花に興味があって姿を表した。]
▼神社
愚花が神社に着くと、本殿の中からわらわら声がする。
どうやら中に人が集まってる様だ。
中を覗いてみると、何やら皆が一様に巨大な岩を取り囲んで何かを呟いている。
その中の一人が愚花に気付くと、皆一斉に張り付いたようなニコニコ笑顔を愚花に向けて来ました。
その中にはどうやら、笑顔の愚花の父親も居るようだ。
「ああ、愚花。丁度呼びに行こうと思っていた所なんだ。ほら、こっちへおいで。」
・近寄る場合
（POW×3）
(成功で軽い目眩、失敗で立っていられない程の目眩）
愚花がその岩へ近寄ると、突然目眩に襲われます。
そして頭の中に誰かの声が響く。
「欲しい…身体が欲しい…」
・近寄らない場合
しかしその瞬間、愚花は首筋に強い衝撃を受ける。
ぐらり。目の前の景色が斜めにスライドしたかと思うと、愚花の意識は闇の中へと引きずり込まれていった。
※応じて近寄った場合も、応じずに動かなかった場合も、後ろから殴られて意識を落とします。
………
……
…
ゆらり。
瞼の裏で何かの光が揺らめいている。ひどく気分が悪い。
瞳を開けばそこは、先程の場所とは打って変わった場所だった。
薄暗く、座敷牢の様にも見えるそこに、愚花は寝転ばされている。
松明が灯っており、辛うじて部屋の中を見て回る事は出来そうだ。
※探索開始をし始めたら。
愚花がその部屋を見て回ろうとすると足に激痛が走る。
何だと下半身に目を向けると、今迄確かにそこにあった筈の左足が一本、ぽっかりと抜け落ちたかのように消えていた。
巻かれた包帯から滴る血液が、ぴちょんぴちょんと孤独な音色を奏でる。
SANc(1d3/1d6) HPを3にする。
※過去の記憶の中なので発狂は無し。
「愚花、愚花！」
愚花が激痛に苛まれていると、横からまりちゃんが心配そうに覗き込んで来ていた。
「…ああ、奴らに足を切られたんだね。かわいそう。きっと神様の貢ぎ物にされたんだわ。
どうしてこんな酷い事が出来るのかしら。」
質問
[・神様？
→この村に祀られている神様だよ。名前はくおんさま。
・なんで足を切られたの？
→くおんさまは身体が欲しいってずっと言ってるんだって。
だから2年に一度は人間の身体を切って捧げるの。
足、腕、足、腕、最後は首なんだって。
・なんで私？
→わかんない。でもたぶん、若くて外の人だからじゃないかな。
誰だって身内は殺したくないもんね。人ってほんと、酷いよね。
・あなたは大丈夫？
→私は好きに出入り出来るから大丈夫だよ。]
（探索箇所：祭壇、壁）
▼祭壇
狭い部屋ではあるが、松明の明かりに照らされて祭壇の様なものが見え、引き出しがあるのが分かる。
祭壇の前には白い布が被された何かも置いてある。
・引き出し
引き出しを開けるとそこには「贄帳」と書かれた古い書物があった。
ペラペラと捲ればそこには名前と年月日、そして「左腕」や「首」等、身体の部位が書かれていた。
最後のページには「（PL名）、XX年、〇月〇日、左足」と書かれている。
どうやらこれは、ここで四肢をもがれて供物にされた人たちの名簿では無いか？と愚花は思い至る。SANC(1/1d3)
（アイデア）
そして、名前が10年分連なっている人もいれば、一度しか書かれていなかったり3回程で別の名前に変わっている人もいる事から、苦痛に耐えきれず、途中で死んでしまった人もかなりの数いるのでは無いかと愚花は思い至ってしまう。
SANC（0/1d2）
・白い布
祭壇の前に置かれた白い布を捲ると、そこにあったのは…自分の足でした。
SANC(1/1d3)
足の前には一枚紙が置かれている。
「くおんさま
穢れの民の身をお持ちしました。
これを以って夲年、翌年の怒りを御鎭め下さい。
村の豊穣をお約束下さい。
次は腕をお持ちします。」
（それを見ているとまりちゃんが呟く）
「本当に人って酷いよねぇ。自分の為なら好きなだけ他人を犠牲にするんだから。
愚花はそんな奴になっちゃダメだよ。」
▼壁
座敷牢らしく、木が格子状になっている壁だ。実際、腕くらいなら通せそうな程目は粗く、壁といった感じはしない。
廊下は薄暗く、松明こそあるものの人の気配はしない。
（アイデア）
窓が無い事から、どこかの地下かなと思う。
※ある程度探索を終えたら。
ガチャリ。どこからから鍵を外す様な音が聞こえ、複数の足音が近づいてくる。
足音は愚花の部屋の前で立ち止まり、振り返る。それはこの様な人物だった。
（父親）（安部獄耀）
「ああ愚花！よかったねえ！足を捧げたからきっとくおん様にも気に入られたよ！
お父さんも鼻が高いよ！これからも皆さんの為に身体を捧げるんだよ！」
(目星)
そう話す父親の顔はらんらんと輝いていた。
しかし、その瞳はどこか曇っており、何かを狂信する盲目的な信者に見えない事も無かった。
父親の横にいた陰陽師風の男が口を開く。
「左様。くおん様は若い身体を捧げられた事で喜んでおられる。
但し、お主等は外の地より此処に参った穢らわしき存在。
喜ぶが良いぞ。今日より長きに渡り、この娘の身体は村の者により削り清められていく…。」
「はぁー…ありがたやありがたや…。愚花！
父さんもくおん様の為にこの村でしっかり働くから、愚花もしっかり精進するんだぞ！」
そう言い残すと、二人は去っていきました。
まりちゃん：
「本当に人間は勝手。愚花、此処で生き残るには人を恨み憎む位の強い心が必要よ。例え良くない感情でも、それが明日を生きる力になるわ。恨みなさい、憎みなさい。人を、世界を。」
（POW×1）
まりちゃんの言葉を聞いていると、次第に愚花は自信の中に何か、黒いものがふつふつと湧いてくる事を感じる。
やがてそれは愚花の意識を黒く塗り潰していった…。
………
……
…
過去��
愚花は再び目を覚ます。
そこはどこかの和室の様な所だった。
当たりを見渡せば、大きな本棚や机、扉がある。
そして、まりちゃんも居た。
「随分うなされてたけど大丈夫？そりゃそうよね。今日はあの日から2年…だものね。」
そう言われて身体を見れば、確かに先程よりも明らかに身体つきは成長している。ずっとボロを着せられた身体は、すこしきつさを感じているだろう。
※この時点で、HPやMPをMAXに戻す。
（探索箇所：本棚、机、扉）
▼本棚
（図書館/目星）
一部がズタズタに引き裂かれた本を見つける。
中を覗くと、ほとんどのページは判別出来なくなっているが、辛うじて読めそうなページがある。
「キャラクターの能力は、基本的に6面のダイスを振って決める。
STR(筋力) 3d6
CON(体力) 3d6
POW(精神力) 3d6
DEX(敏捷性) 3d6
APP(外見) 3d6
SIZ(体格) 2d6+6
INT(知性) 2d6+6
EDU(教育) 3d6+3
気に入らなければ何度でも（この先はズタズタに切り裂かれている）」
▼机
引き出しが付いたシンプルな筆机だ。
引き出しを開ければ、愚花は随分古い本を見つける。
赤い表紙の和紙で出来ているが、タイトル等は無い。
中には血液で書いた様なへたくそな赤褐色の字で、以下の様な事が書かれていた。
「つらい くるしい ぬけだせぬ
ああにくいひとがにくい なんどもなんどもころされた
いたみをわけましょ つらみもわけましょ
契りをかわしてたえましょう」
祓詞・苦衷（はらえことば・くちゅう）の習得
・苦痛を神と分けあい、緩和する。
・何か強い恨みを持たねば使えない。
▼扉
横開きの扉は、外側から鍵が掛けられているようでびくともしない。
（聞き耳）
外側から声が聞こえてくる。
「もうこいつはダメだな。精神を貢ぎ過ぎた。犬神様の餌にでもしておくか。」
「日が昇りっ ま 真昼に差しかかってピタリピタリと風が生暖かい風が吹いてくるんだよ、既に兄の声ではなく俺の真後ろで突然沸騰したに違いないんだザリザリと畳をはだしの足で物凄い高さのグレーの海が」
と聞こえてくる。
（アイデア）
意味不明な単語の羅列の声が、父親の声だと感じる。
SANC(0/1)
※ある程度探索を終えた所で
その時、がらりと扉が開いた。
そこには、屈強で大柄な、斧を持つ男、そしてあの陰陽師の様な男がいた。
「へへ、今年の供物もこいつですかい。」
「左様、だがくおん様へと身体を捧げる手前、内なる穢れを落とさねばならぬ。それには村人の精を注ぎ込む必要がある。」
「ああ分かってますよ、"穢れ落とし"ね。」
「……わかっとるとは思うが、この娘は大事な贄。殺すで無いぞ。」
そう言い残すと、陰陽師の様な男は部屋から出て行った。
大柄な男はにやりと笑うとズボンを下ろす。
そして愚花のボロ着に手を掛けると、無理やりに引きちぎった。
「ハハハハハハ、泣いても喚いても声は外に聞こえやしねえぞ。まぁ、聞こえても誰も助けねえがな。」
そのまま愚花の首を掴み、既に怒張した一物を貴方の中へと無理やりに押し込んだ。
ぶつり。
何かが切れる感覚と共に、下腹部から激痛が走る。
ああ今自分は、どこの誰とも知らない男に純潔を散らされたのだ。
SANC(1d2/1d4) ダメージ1d4(祓詞を使用していた場合は半減)
※まりちゃんはこの間ずっと歯を食いしばり、恨めしそうに男を睨み続けている。
愚花の首を掴んだまま、暫く男は腰を振り続ける。
愚花が痛みに堪えていると、不意に男の身体が震えた。
ごぷり。脈動と熱い物を下腹部に感じた。
出されたのだ、何かを中に。
「あ〜あ、良かったぜぇ。それじゃ、穢れも落ちた所で右手とオサラバすっか！」
男は腕を首から愚花の右手へと掴み直した。
※祓詞を唱えていない場合はまりちゃんが使う様に言う。
そのまま間髪入れずに斧が振り下ろされる。
ぎちゅり。
肉が裂け、骨が砕ける音が狭い室内に何度も木霊する。
切れ味が悪いのだろう、何度も何度も振り下ろされる。
筋肉の繊維や神経だろうか、その一本一本が斧の刃に引きちぎられ、ぶち、びち、ばつんと取れていく。
目の前が白黒に明滅する。それは痛みからだろうか、ショックからだろうか。分からない。とにかく、この苦痛から早く逃げたかった。
SANC(1d3/1d6) ダメージ1d10(祓詞を使用していた場合は半減)
※この時、まりちゃんを見ると血を吐いて倒れています。
（POW×1）
つらい、苦しい、憎い。
憎悪の心が満ちると共に、愚花は再び意識を落とした。
………
……
…
過去��
うだるような暑さと、セミの喧しさであなたは目を覚ました。
今度の場所は、そこそこの広さの納屋の様な場所だった。
床には藁が敷かれ、縦一文字に割れた屋根からは太陽が降り注ぎ、丁度その下には床の補強の為なのか、鉄板が敷かれていた。
その奥で見慣れた顔…まりちゃんが倒れている。どうやら気を失っている様だ。
※己の邪気と淀みで弱っている。水をお供えする事である程度晴れる。
※もし近寄る場合は、右腕と左足を失っているので、這いずるしかない。
鉄板は熱されている為、通る時にダメージを受ける。
夏の太陽を長時間浴びた為に異常なまでに熱された鉄板を、愚花は這いずる。
ジュウ、という音と共に、腕の皮膚が焼けていくのを感じる。
(鉄板は通る度に1d5ダメージ。祓詞で1/2)
※まりちゃんが目を覚ましてからは、鉄板を通ろうとすると祓詞を使うようにアドバイス。
鉄板を渡ってまりちゃんに近寄ると、彼女が目を開く。
「ああ…(PL名)ごめんなさいね、ちょっと身体の調子が悪いの。」
そういうと彼女は咳き込む。
「…ごめんなさいね。ちょっと水があればいいのだけれど。」
（探索箇所：がらくた置き場、散らばった本の残骸、壁の傍）
▼がらくた置き場
（目星）
がらくたの残骸に紛れて、液体の入った小瓶や、ガラスのコップ等を見つける事が出来る。
※小瓶は開けると強い香り漂う。香水という事が分かる。
▼散らばった本の残骸
ここに廃棄されてから随分と経つのか、劣化が酷い。
表紙は半分ぐらい日焼けで読めなくなってしまっているが、読める本も幾つかありそうだ。
中でも、朱色の表紙の本が目を引いた。
[題：■■頁村の成り立■と■■神社
臣豆頁村は古来より水子※供養の神社として細々と紡がれてきた村である。
その水子の規定範囲は特異であり、人のみならず、畜生や歌人の完成しなかった句、建立中に災害等で無くなった寺社等多岐に渡る。
一説には神社の創設者が、この世ともあの世ともまた違う別の世を視る事が出来、全ての生まれずに消え行った御魂を救いたいと願った為に、この特異な範囲の水子供養をするに至ったと言う。
水子の御霊は純新無垢な白絹の様である為、無闇に邪気に晒すのは避けるべきである。
数年前にも近隣の殺生石を村に移転させる話が持ち上がったが、猛反発をした事により事なきを得た。
殺生石の様な邪気の強い物を置けば、元々祀られている御霊にどの様な障りがつくのか、想像も出来ない。
※水子…この世に生を受ける前に亡くなった者の事]
▼壁のそば
天井からぼたぼたと水が垂れ落ちてきている。
コップを下に置いておけば、水で満たす事が出来そうだ。
また、近くに本の切れ端の様な物が落ちている。
[霊の嫌う物:光り物、強い芳香、硝子等のぶつかる清らかな音
低級霊や、弱った霊魂等であれば、これらで撃退出来るでしょう。]
・祓詞を唱えて鉄板を渡った場合
まりちゃんの皮膚は愚花と同じ様に焼け、ジュウジュウと爛れていく。
苦しそうに呻き声を上げるが、文句などは一切言わない。
・水の入ったコップをまりちゃんに渡す。
「ありがとう…ふふ、愚花がいるからなんとか私も生きていられるわ。そこに置いといて？」
まりちゃんの指示通り、愚花は床にコップを置く。
まりちゃんはそれを一瞥すると、眉間に力を込めた。
すると、コップにあった水がひとり手に減ってゆく。
不思議で不気味な現象にSANc(0/1)
(アイデア)
愚花はなんとなく、仏壇のお供え物みたいだな、と思います。
※ある程度探索を終えたら
愚花がそうしていると、ギリギリと壁がスライドしていく。
どうやら納屋の扉が開いた様だ。
ちらりと顔を向ければ手にマチェットを持つ執行人、あの男がいた。
「よぉ〜〜愚劣手 愚花、今年も贄になる時間だぜ。」
「だがその前にお清めだよなぁ！」
男に残った四肢を捕まれ、下腹部にブツを押し込まれる。
あの時程ではないが、やはり痛い。(ダメージ1d4、祓詞で1/2)
そして当然の様に中へと出される。SANC(1/1d2)
しかしこの後起こる事の方が、当然ながら痛かった。
「あぁ〜。清め終わったからじゃあ、今回は右足とおさらばすっかあ。」
男は軽快に喋ると、なんの躊躇も無い一撃を愚花の右足に振り下ろす。
運動も栄養も不足気味な太ももは、簡単に刃を受け入れた。
ぐちり。刃に肉と骨が押し切られていく。痛い、痛い痛い痛い痛い。
SANC(1d3/1d6) 1d5+5ダメージ 祓詞で1/2
※まりちゃんを見ると恨みがましい目で男を見つめ、血を吐いている。
太ももから大量の血液と熱が漏れ出ていくのを感じる。
死ぬというのはこういう事だろうか。気絶の時とはまた違う感覚。
意識が暗い穴の中に落ちていくかの様な感覚に襲われる。
ああ、今回こそ駄目だ。そう思っていると
「そうはさせない」 「生きて」 「奴らに仕返ししなきゃ」
聞き慣れた声がする。と同時に抜け落ちた熱が身体に再び戻ってくるのを感じた。
それと共にまた、どす黒いなにかも。
何故自分は生まれてきたのだろうか。こんな苦しい思いをする為だったんだろうか。
後悔や憎みに足元を捕まれ、意識は黒い感情の中へと堕ちていった。
………
……
…
過去��
愚花は頬にこそばゆい感覚を感じて目を覚ます。
目を覚ませばアシダカグモが頬の山を登山していた。
辺りは相変わらず薄暗く、今回は廃墟の様な座敷牢に見える。
身体を見れば、残るは左手1つ。無惨にも両足と右手があったであろうそこには、空虚な空間しか無かった。
残った部分の身体付きこそ、この村へ来た時よりも随分大きくなったが、その分厭に歪な身体となってしまった。
部屋を見渡せば廃棄された本棚、そして壁を背に眠るまりちゃんがいるだろう。
(探索箇所:廃棄された本棚、まりちゃん)
廃棄された本棚
所々木が腐り落ちたボロボロの本棚だ。
随分古く見えるが、いくつか本のような物が入っている。
(図書館/目星)
愚花は何か、かなり古い日記帳の様な物を２冊見付ける。
それぞれ漢字で壱、弐と書いてある。随分古いために読めないページもありそうだが、一部の日記はまだ読めそうだ。
[壱
〇月〇日
再三あの岩を持ち込むなと言っていたにも関わらず、あの莫迦息子は持ち込んで来た。どんなものかも知らずに…。
本当に余計な事をしてくれた。
〇月〇日
夢に童が現れた。恐らく社に祀る水子様だろう。
悲しそうな眼をしておられたが、暫くすると黒い影になって消えてしまわれた。
矢張り、あの邪気を放つ殺生石の影響を受けておいでなのだろう。早々にどこぞへ移さねばならん。
明日、獄耀を再度説得してみよう。
〇月〇日
迂闊だった。既に村人も莫迦息子もあの邪気に取り込まれてしまっていた。
なんとかこの日記だけは持ち込めたが、座敷牢に捕らわれてしまった。
病さえ無ければ大立ち回りを演じられたやも知れぬが、歳を取ったか。]
[弐
〇月〇日
水子様は病床に伏す私の前に、度々姿を現す様になった。
男や童、狸等様々な御姿で現れるが、どうやら最近は少女の姿が気に入っているご様子。
しかし、口を開く事こそ無いものの、近くにおられると恨み辛みの感情が流れ込んでくる。生まれたかった、存在を認めて欲しかった、名を呼んで欲しかった…。
…水子様が祟神に変容し掛かっておられる事は明白だ。何も出来ない事がもどかしい。
〇月〇日
もう私は駄目だ。不思議と苦しみは全く無く、邪気に取り込まれずに死ねる事がせめてもの救いか。
しかし、水子様といえばおぞましい祟神に御姿を変えてしまい、何処かへ行かれてしまった。
せめて名くらい呼べれば良かったのだが、私には呼び名が分からぬ。
今後、此の日記をいずこで読む者が居れば、可哀想な弱き神を救ってあげて欲しい。
それだけが今の心残りだ。
どうしてこの世に生を受けられた者同士で争うのかしら。
また一人になってしまったわ。……憎い。]
まりちゃん
愚花がまりちゃんへ近寄ると、眠っていたまりちゃんの瞼が静かに開きました。
そして、愚花の瞳と残った左腕を交互に見ます。
「あら…愚花、大丈夫？」
「大丈夫…って感じじゃないよね。今日はあれから二年、最後のその腕も今日でさよならだものね。でも安心して、愚花に降りかかる苦痛は私が受け持つわ。だって愚花は私の唯一の友達だもの。」
質問一覧：
[祟神なの？
→…その質問をしているという事は、あの日記を見たのね。…さぁ、祟神の定義が分からないから私にはなんとも言えないかな。でも、私が人じゃない存在なのは間違いないかな。隠していたわけじゃないけど、ごめんなさいね。
名前は？
→昔は無かったけど…今は、愚花がつけてくれた立派なまりちゃんって名前があるじゃない。この名前があるからこそ、私は私でいられるの。…愚花が本当に困ったとき、私を呼んで？何に代えても愚花を助けるわ。覚えていてね。
共通
→…ねぇ、もう私たち、長い間一緒にいるでしょう。私、姉妹という存在に憧れてたの。良かったら、私たち契りを交わさない？ちょっとした契約が必要になるんだけど。
了承する
→ああ良かった。ええとそれじゃあね、愚花の残った左指…どの指でもいいわ。愚花の血をつけて私の手の甲に血判を押して欲しいの。血の契約って言うと聞こえは良くないかもしれないけど、出来るとしたらこれで最後かなと思って。
血判を押す
→…ふふふ。嬉しいわ。どうなんだろう、この場合は私がお姉ちゃんなのかしらね。大丈夫よ、これからも貴方の事は支えるわ。]
※ある程度探索を終えたら
暫くすると、座敷牢の外からのしのしという足音が近付いて来る。
ギイッという重苦しい音が鳴ったかと思うと、入ってきたのはまた、あの男だった。
「おうおう嬢ちゃん、元気にしてたかい！上玉に育ってるなぁ！ま、それも後2年の命だけどよ！」
男は無造作に愚花の腕を掴むと、空中へ引っ張り上げた。
「今日のお清めはこっちも試してみるか！」
そのまま男の一物が口元へ滑り込んで来る。
怒張したそれを拒み切る体力は貴方に無く、喉の奥までずぼりと挿し込まれた。
SANC(1/1d3)
しかし、不思議と痛みや身体の不快感は感じなかった。代わりに、隣から「ぐぅっ…」というくぐもった、苦しそうな声が聞こえる。
隣に目を見やると、そこには涙目のまりちゃんが喉を抑えて苦しそうにしていた。
「大丈夫よ…愚花、貴方は私が守るから。」
まりちゃんはキッと男を睨むと、呪詛の様に何かを呟く。
（聞き耳）
「コロス、コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」と呟いているのが分かる。
しばらくの後、生暖かい液体を喉奥に出された。
まりちゃんは咳き込むと嘔吐する。そこには血ともヘドロとも言えない黒い液体が広がった。
「ふぃーっ…気分爽快だぜえ。じゃあ、次はこれだな。」
ばっさり。躊躇い等は無い様だった。
一瞬の浮遊感の後、嫌な音と共に床に叩きつけられる。
上を見れば、男の腕から、先程まで自分の身体の一部だった細い腕がぷらんぷらんと力なく垂れさがっている。その切り口からは、赤黒い体液がぼどぼどと垂れ落ち、床に跳ねていた。
SANC（1d3/1d6）
しかし、不思議と今回も痛みは無かった。四肢がもがれているのにも関わらず。
「アァァァアアアアアア…！！」
横を見れば、まりちゃんが腕を抑えてうめき声を上げている。
その指の隙間からは、夥しく黒い液体が噴き出す。
まりちゃんの瞳には先程の易しく可愛らしい、らんとした輝きは無く、塗りつぶされた様な大きな黒目は苦痛に歪み、化け物じみた恨みの表情が読み取れた。
「コロス！コロス！コロス！」
歯の間から漏れ出す様に、怨嗟の言葉が漏れ出ている。
「なんだぁ？お前。腕切ったってのに悲鳴の一つもねぇなんて気持ちのわりいやつだなあ。俺はお前の悲鳴も楽しみの一つにしてんだからよお、しっかり鳴けや！」
愚花はゴム毬の様に蹴飛ばされた。
蹴られた衝撃や失血の為だろうか。痛みこそ無いが、愚花は急激に意識が暗転していった。
………
……
…
現代
随分と長い夢を見ていた気がする。
いや、これこそが今際の際に見る走馬燈だったのかもしれない。
結局、自分の人生はなんだったのか。贄としての人生か？
既に、苦痛として過ごした人生の方が長い時間になっていた。
あれ以来、まりちゃんの姿は見ていない。最後の姿は随分と苦しそうだった。
もしかして死んでしまったのだろうか？
そんな事を考えながら、ゆっくりとナイフが眼前に迫っているのをなんとなくボーっと眺めていた。
どちらにせよ、四肢が無いので避け様も防ぎ様も無い。
ああ困ったな、これはどうしようもなさそうだ。
※1度だけ行動出来ますが、どうしますか？とPLに問う。
もし何も思いつかなければ、アイデアで「名前を呼ぶ」事を思い出させる。
▼まりちゃんの名前を呼ぶ
貴方は彼女の名前を呼んだ。
どくん。心臓が強く跳ねるのを感じた。
「久しぶりに呼んでくれたねぇ、私の事忘れちゃったのかと思った。」
「死に目に会いたくなかったから潜んでたけど、名前を呼ばれたら出てくるしかないよね。」
脳に懐かしい声が響く。それと同時に乾ききっていた心に、黒い粘性のあるどす黒い感情が流れ込んでくる。
「駄目だよ、愚花。こんな所でくたばっちゃ。貴方は私の親友であり妹なんだから。私が決して殺させはしない。」
「…むしろ死ぬべきは、こいつ。」
（POW×5）
※成功失敗関係無し
気付けば身体、いや、顔が動いていた。
目の前まで来ていたナイフを、獣の様な速度で噛み抑える。
生きる事を諦めかけていた心は塵の様に吹き飛び、ただ生の衝動にしがみつくかの如く、刃に歯を立てた。
当然、易々と殺される筈だった少女が抵抗を見せた事により、男は目を丸くする。
「な、なんだコイツ…！黙って贄になり…やがれ！！」
（STR15との対抗）
流石に力では分が悪い。
拮抗するナイフが少しずつ横にずれ、口の横から頬にかけて、どんどんと裂けていく。
しかし、痛みは無かった。
「ぐっ…よく頑張ったねぇ、愚花。そう。貴方は生きなきゃいけない。
この世界に生の一つも受けれなかった私達の代わりに！！」
そんな声が聞こえると同時に、何か巨大な影と共に男が横へ吹き飛ばされた。同時にナイフもその場へと落ち、カランカランと乾いた音を鳴らす。
「な…何が起こったんだ…！？か…身体が重い…！立てねぇ…！」
男が飛んだ方向に目を向けると、なんとも形容しがたい、おぞましい何かがいた。
人の頭髪の様な髪、鳥の様な翼、馬の様な体躯、どの生物としても中途半端な集合体がそこには居た。
SANC(1d4/1d8)
その何かは、男の頭部と身体を前足で器用に抑えている、が、男にその化け物は見えていないようで、ジタバタと身体をばたつかせている。
「く…案外力が強いなぁ…弱り切った身体には応えるね。」
「愚花！私の身体を貸してあげる！私がなんとか抑えてるから、トドメを刺して！！」
そういうと、愚花は四肢の付け根に激痛を感じる。
目をやれば、黒い枝の様な骨格が生え、それらがどんどんと太く、成長していく。
ある程度の太さになった所で、赤い繊維質な髪の毛の様な何かがそれらに巻き付き、形を成していく。
本来愚花が普通の生活をしていれば、当たり前の様に持っていたもの。
そう、四肢だった。
しかし、それらは赤く、継ぎ接ぎだらけであり、通常の見た目とは大きくかけ離れていた。
SANC(1/1d2) ※STR、DEXを18にする。
そして、それらは愚花の自由に動かす事が出来ると気付くだろう。
▼ナイフを拾い、男の首に刺す。
貴方はナイフを拾い、男ににじり寄った。
「このアマ…一体…お前はなんなんだ！！この…化け物め！！よ、よせ…近寄るな！！」
ぐさり。愚花は男の喉にナイフを突き刺した。ゴボゴボと音を立て、男が自らの血に溺れる。
そして暫くの後…男は白目を向き、絶命した。
SANC(1/1d2)
「はぁ…はぁ…ありがとう、今度は共犯者になっちゃったわね、愚花。人の姿を保ってられなくてね。なんだか分からない姿になっちゃった。分かる？私の事。」
・分かると答える。
「ふふ、そっか。流石ね。知ってる？共犯者ってこの世で最も親密な関係らしいよ？」
※しばらく話していると
そうあなた方が話していると、不意にドカン！！！という耳をつんざくかの様な爆発音と振動がする。
天井からは土埃がパラパラと落ち、降りかかる。
「これは一体…？愚花、早くここから出た方が良いわ。」
▼男の死体を漁る場合、
ポケットから、恐らくこの座敷牢のものであろう鍵が出てくる。
それを使えば、問題無く牢から出れる
▼座敷牢の扉を破壊
耐久15を与えれば破壊出来る
・廊下
薄暗い廊下の奥は階段になっており、先程の振動、あるいは爆発のせいか、
瓦礫が散乱し、上から光が差している。
出ようとすれば外に出られる。
・外
瓦礫を慎重に登り上がるとそこは、久方ぶりの外だった。
しかし10年程前に見た村とは随分様子が違い、ただただ荒れ果てた瓦礫がそこには広がっていた。
見れば、そこかしこには村人の凄惨な死体が転がっており、いつか見た陰陽師も血だらけで倒れたりしていた。
ガラリ。
瓦礫を踏みしめる音が後ろから聞こえる。
後ろを振り向くとそこには、一人の男が居た。
銀色の髪に浅黒い肌、金色に光る眼に赤黒の着物。額からは血を流しているものの、邪悪な表情からは、微塵の痛みも感じていない様に読み取れた。
「お、お前は…久遠…様」
まりちゃんが後ずさる。
まりちゃんを見ると、その男は口を開いた。
「ほう…？貴様…水子の集まりか。成程、これまた面倒な奴が出て来たものじゃ。」
「同じ場に封印されていた儂の封印が解ければ、貴様が何不自由無く外を歩けるのも通りよな。じゃが、貴様はことこの世界において影響が大きすぎる。」
「外の世界を感知出来る貴様の存在は、この現し世の理を崩壊させかねん。
どうやらその娘を誑かしてなんとか出て来た様じゃが、また一人大人しく岩間で悠久の時を過ごすが良い。」
そう男が言うと、後ずさっていたまりちゃんも顔を上げます。
まりちゃん：
「ふざけないで！誑かしてなんかいない！
お前たちと違って私…いや私たちは生まれたくても生まれられなかった存在だ！
存在しようともがいて何が悪い！」
「元はと言えば今、私たちを見ているこいつら人間どもが！面白半分に何度も何度も賽を振るのが悪いのだ！やれ力が無い、やれ器用さが無い、やれ醜いだのと！賽を振る度に私達の魂が引き裂かれ、棄てられているとも知らずに！！お前のその傷も連中の手先にやられたんでしょう！！」
久遠：
「はぁ…やはりこの世に生も受けたことも無い小童よ。いけしゃあしゃあと喚き散らしおってからに。」
「確かに貴様の言う通り人間は勝手じゃ。気に入らなければ作り直す。例えそれがキャラクターとして体を成す前の未熟な魂であろうともな。しかし喚いてどうなる？あやつらの意思にはそうそう逆らえん。罪の意識すらある訳無かろう。」
「そして貴様は、いや貴様らの魂はその脆弱さ故、人間どもに選ばれなかった。それだけの話よ。未熟な魂が幾重重なった所で、その内情は愚かの極みよ。大人しく自我は棄てて再び儂の中で眠りにつくがよい。」
そういうと、男はまりちゃんに指を向けます。
すると、まるで吸気口の様にその指先に向かって風が舞い上がり、吸い込まれていく。
まりちゃんや愚花の身体からも、何か黒い粒子の様なものが出ていき、どんどんと吸い込まれていく。
（POW1d5減少）
まりちゃん：
「が…あ…！…やめて…やめて！私は存在したい！
誰かに認められたい！ここに居てもいいよって言ってもらいたいだけなの！！！」
「助けて、助けて愚花！！」
※どうしますか？タイム
ナイフや瓦礫を久遠に投げるのであれば、久遠は一時的に動きを止める。
「…ほう？なんのつもりだ小娘？」
・止める旨を話す。
「舐めおって…もうよい、今日は虫の居所が悪いのだ。お前ら全員皆殺しだ。」
戦闘開始です。
戦闘：久遠
▼戦闘開始
久遠
全ステータス18 1ターンにつき5点迄しかダメージを喰らわない。
・鬼道【獄火】 50% 1d6
・鬼道【黄泉吸】40% 1d3 HP吸収
まりちゃん：
「弱ってるとはいえ、あいつの正体は大妖怪…このままじゃ勝ち目は無いよ。」
「ねぇ、愚花。私を信じる？」
・信じる
「ふふ、ありがとう。…あのね、少しの間、身体を貸して欲しいんだ。」
「私は肉体が無い。この姿も色濃い魂として存在してるだけなの。」
「だからこの姿を、愚花の血肉を使って再現出来れば、十分今のあいつに対抗出来る力になると思うの。」
・了承する
「ありがとう…それじゃあ、借りるわね。」
ふっと、愚花は胸に何かが入り込んでくる感覚を感じた。そしてその数瞬の後、感情の洪水が流れ込む。
暗い、冷たい、生きたい、生まれたい。
まるで赤ん坊の泣き声の様に純粋な、それらの悲痛な声が愚花の心の中に激しく波打っていく。それと同時に、赤い腕の継ぎ接ぎが解れ、中から異形の四肢が肥大化し、露になっていく。
四肢だけではない。身体全体がバキバキと骨格を変え、異形の何かに成り代わっていく。
気付けば愚花は、先程見た異形の獣へと姿を変えていた。
SANC(1d3/1d6)
化け物（愚花）
HP：20
DEX：20
ガッツ1回
攻撃方法
噛禍(噛み付き) 80% 1d20
淵化(MA) 60% 1d6
久遠がごちる
「チッ…面倒な…。娘の血肉を使ったか。」
頭の中で、まりちゃんの声が響く
「ああ…これが身体がある、存在しているって事なのね！なんて素敵なのかしら…。尚更あいつに負ける訳には行かない。いくよ！愚花！」
▼戦闘終了
久遠が片膝をつく。
「チィ…小娘二人の癖によく抵抗するでは無いか。しかしそこの…愚花といったか。
そいつは最早貴様の身体にも精神に寄生している。障りを引き受けるという事は容易い事では無いぞ。
お前が望めばその禍つ神を消してやってもいいんだぞ。」
・承知しない
「…ハン、強情な奴め。気に食わんがその無様なまでに意地汚い存在への執着は認めてやろう。」
「おい水子！その娘と二人、この世界で何が出来るかやってみろ。
きっと人間に絶望し、滅亡させてやりたくなる事もあるだろうがまぁ…その時は力を貸してやらんでもない。」
「はぁ…儂はもう疲れた。慣れぬ身体で1000年ぶりによく動いたからのう。」
「しかしその邪気だけは貰って行くぞ。それは元来儂のモノじゃ。」
彼が指をクイと動かす。すると、愚花達の身体中から黒い煤のようなものがフッと出ていき、彼に吸い込まれた。
不思議な事に、愚花が今まで抱えていた恨み辛みの感情や、聞こえていた哀しみの声が消えていく。あるのはただ、晴天の下、清々しい気持ちだけだ。
煤を全て吸い込むと、満足したのかその男はニヤリと笑うと、煙の様にその場から姿を消した。
▼エピローグ
「なんとか…なったみたいだね。」
力を出し切った愚花の身体も、しおしおと縮み、やがて手足の無いいつもの愚花の身体に戻っていった。
「はぁ…ちょっと張り切り過ぎちゃったみたい。もう手足も出してあげられないや」
「暫くは弱い霊魂の状態で、貴方の近くで魂が癒えるのを待つわ。愚花のお陰で身体を作る感覚が掴めたから、万全な状態なら腕も、自分の身体も再現出来ると思うの。」
「そしたら今度は、本当の身体を持って愚花に会えるわ」
「ねぇ、愚花、私、この世界に存在しても良いのかしら。」
・もちろん
「ふふふ、優しいのね。ありがとう。」
「それじゃあ、寝ましょうか。もう疲れたでしょう？
後の事は大丈夫。きっと心配いらないわ。だって今まであんなに苦難を乗り越えたじゃない。」
「おやすみなさい、愚花。」
愚花は久々の激しい運動に疲れ果て、瓦礫の上にも関わらず眠りについた。
数時間後、大規模災害のあった村に現場調査に訪れた化弥魔 利奈、潤によって愚花は救出された。
愚花の凄惨すぎる風貌から事件性を感じた軍事学部は警察と協力し、村の跡地の調査を行った。しかし、大穴があるか瓦礫の山しか無かった為にロクな証跡も見つからず、早々に捜査は打ち切られた。
また、心的外傷後ストレスが懸念される事から、あなたに対する追求も無く、愚花は施設へと預けられた。
そうして暫く月日が経った後。
■施設
「愚花！もう起きてるかしら？」
いつもの声が響く。いつの間にやら施設に入居していたまりちゃんが、扉から愚花の部屋を覗いていた。
「手足の調子はどう？」
あれ以来、愚花に生やした手足の調子を見に来るのが彼女の日課になっていた。
「うん、今日も元気そうね。それじゃあ今日はどこへ行こっか？」
「そーうだ、近くに新しいアクセサリーショップが出来たんだって。お揃いのアクセでも買いにいきましょ！」
無くした青春の時間を取り戻す為なのか、身体を持ったらやってみたかったからなのか。
それは二人にしか分からない。いや、きっと両方なのだろう。
年甲斐も無く二人は手を取り、元気に外へと駆けて行く。
夏の風と太陽を受け、2人の黒髪が艶やかに光った。
だが、1番眩しいのは2人の笑顔だった。
おめでとうございます。
シナリオクリアです。
3d10 SAN回復。
AF：挧蟐彁之口蓋垂装身具獲得。
商店街の福引で豪華客船の搭乗券に当選。
当時は車椅子生活だった為ヘルパーさんと乗る予定だったが、手違いでヘルパーさんが乗船出来なくなってしまい、その場にいたよろず屋の藤波 帖に移動のお世話を頼む事に。その後事故に巻き込まれ危険な目に遭うが、周囲の助けもあり無事生還。
以来、帖や、船上で出会ったゼロとは縁あってか頻繁に行動を共にしている。
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月日が経ち挧蟐彁の力が徐々に回復。
挧蟐彁に四肢を補ってもらい、2人で仲良く手を繋いで外出するようになる。
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見知らぬ部屋でお菓子作りをお願いされる。
経験もなかったので緊張気味だったけど、みんなで試行錯誤しながらお菓子を作るのは楽しかった。
たくさん練習して上手になったら孤児院のみんなに振る舞いたい。
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